夜のお散歩

日中のいつものお散歩と違うのは、懐中電灯を照らさなければいけない
ということだ。
だってね、車が通ると怖いし、そして何より僕のナニの始末をするのに、
暗くてはねえー　探すのに大変でしょう。
しばらく、夜のお散歩はしていないから、ままはうっかりブーツを
履いてから、そのことに気が付いた。
「ねえー、懐中電灯を持ってきて～」
パパに向かった大声で叫んだ。
どこだっけ？パパは洗面所に向かった。
宇実お姉ちゃんからもらった、頭に付けるカンテラのような懐中電灯を
持ってきたけれど、あれっ！付かないね。
1年以上も使っていなかった為、電池が腐食しているようだ。
えっとー、普通の懐中電灯は・・・？
そうだ、非常袋の中だね。
パパがすばやく持ってきてくれた。

でもね、ままは僕の気持が十分に分かっているくせに、たとえ
お腹が空いていようとすぐには仕度をしない。
人間のやることの方が優先らしい。
先ずは、うがいをして、手洗いをして、普段着に着替えて、
そして、ご仏壇の花差しのお水を入れ替えて、それから、二番目の
お姉ちゃんにお供えをして、それから、やっと僕？
と思ったら大間違い！
パパやままの夕飯の仕度をして、やっと最後に僕のご飯が
用意され、食にありつけるんだ。

でもね、待てよ!
何か僕は大きな忘れ物をしているのに気が付いた。
そうだよ、お腹も空いているけれど、先ずはお散歩ダヨ～♪
ままも、それは分かっているようだった。

でも、それにしても遅いなあー
大分日が長くなってきたけれど、もう5時だよー
夜の”とばり”が気になった。

パパ達が帰って来たのは、6時過ぎだった。
僕はカチャカチャっと玄関の鍵を開けるやいなやその音に
気が付いた。
あっ、帰ってきた～♪
ワンワン！パパ、まま、お帰りなさ～い♪
玄関までダダダーッ！すごい勢いで突っ走り～
何度も言うようだけどやしのみ家はそんなに広くない。
でも、この僕は小さい体だからね、それでも、結構広く感じること
がある。
今日なんて、玄関までが長く感じられたよ。
いつもだったら、すぐそばなのにね。
待ちくたびれたらこんな風にワンコの気持ちも変わるんだよ。

そこで、つい最近ままが考えた新メニューはこうだ。
つまり、人間でもご飯がぱさぱさになって、時間が経った時には、
雑炊にしたり、チャーハンにしたりして、工夫をするでしょう？
だから、僕のそのドライフードも、お残しがある場合は、それにお湯を
足してスープ風にする。
そして、それに、缶詰のお肉を大匙5杯くらい混ぜるんだ。
そうすると、今度はその缶詰のエキスも出てきて、なかなかおいしいんだよ。
だってね、僕はそのメニュー以来、ほとんど残さないようになって
きたからね。
しかも最初に液体、つまりスープの方がなくなるものだから、ままは
いよいよ確信したというわけさ。
あの嫌いなドライフードも肉汁が沁みて、おいしいんだわ！ってね。
つまり、僕は今その夜ご飯を早く食べたいのさ！
まま、お腹が空いたよー

残念ながら、今日は僕はお留守番のようだ。
せわしなく動き回るままの後を金魚のフンみたいに、くっついて
歩いたけれど、今日はやっぱり連れてってもらえないようだ。
仕方ないなっ！まっ、こういう時もあるさ・・・
僕はあきらめた。

お留守番の時は色んなことがあるよ。
りーんり～ん♪電話が鳴っている。
でも、僕は話すことができないから、出ることができない。
キンコ～ンキンコ～ン♪
でも、僕は話すことができないから、これも見送り・・・
あっ、お外をあのドラ(=^・^=)ちゃんが通った。
怖いよ～
パパ達がそばにいるといいけれど、一人だと怖いんだ。

平成19年3月10日の土曜日。
今日はね、パパとままはご用があって、鎌倉まで朝から出かけて
しまった。
僕はお出かけの日って、すぐ分かるんだ。
だって、ままの動きが違うんだもの。
いつもはのんびりゆったりした動きなのに、速度が違うんだ。
手も足もせかせかと動かすからね、すぐ分かってしまう。
だけど、それだけでは僕を連れてってくれるかどうかは、まだ分からない。
例えば、僕専用のあのお水やおやつを入れる大きなバッグとか、
お出かけ用のバッグとかが玄関に出されて、初めて、ああ、僕も
ひょっとして行けるかもって予測する。
そして、そのバッグをクンクンしたり、おでかけバッグの中に入ったり
出たりして確かめるんだ。
ああー、お出かけバッグの中の敷物もきれいだな、ヨシ！これで、
行けるぞ～♪ってね。

「ハッピー、ただいまあ～♪いい子にしてた？お利口さんだったあ？」
ままはお出かけから帰ると必ず、そう言う。
僕はワンワン！ワンワン！と何度も答える。
一応、いい子にはしていたつもりだからさ。
でもね、お留守番の時って食欲がなくなるんだ。
まま、お腹が空いたよー　けれど、パパ達の顔を見た途端に
お腹が空いてきた。
器の中にはまだ、ドライフードが残ったままだ。
でも、それをそのまま食べる気はしない。
1日経つとなんとなく古くなった感じでイヤなんだ。
「本当は食べない場合は一旦下げたほうがいいのよね。」
って、ままはいつも言っているくせに、口ばかりだ。
全然下げやしない。そのままなんだもの。
いつか僕が食べるはずだと淡い希望が棄てられないらしい。

そして、いよいよ僕のお気に入りになった、この写真だよ。
大きなトランクの中には分厚い本が立てかけてあった。
そして、僕はその中に入るように言われた。
あーっ、ままが大好きなご本があるよー
でも、これってちょっと小さくない？厚みもあるし、。。僕は入れるかなあ？
ひょいっ！大丈夫だった、良かったあ～♪
次に、トランクに手をかけるように言われた。
そーっとかけてみた。
なるほどねえー・・・うん？そばにきれいなお花も置かれたよ。
「あらっ！ハッピちゃん、可愛い～♪　ハッピーポッターだあー！♪」
見ていた皆が口を揃えて言っているのが僕の耳に入ってきた。
うん？僕って今注目されてるの？

夜のお散歩は、久し振りだなあ～
僕達ワンコは暗闇でも結構平気なんだ。
だってね、嗅覚があるからね、いつもの道だったら、平気なのさ。
でもね、ままはちょっと「イヤ風」だった。
目が悪いからね。勿論、今夜は眼鏡をかけているけどね。
ままは近視の癖にちっとも眼鏡をかけないんだ。
テレビと映画を観るときだけはかけるけどね。
会社でだって、近くは見えるから、かけないしね。
危なっかしくて仕方ないよ。
だから今日は僕が先頭切って歩いたんだ。

「パパ、ただいまあ～♪」
今夜はお出かけだったから、パパやままの夕飯は出来合いの
お寿司だったからね。
帰ってきたら、ちゃんとお皿やお箸がテーブルにセッティング
されていて、すぐ食べられるようになっていた。
後は、僕の番だね。
まま、早クゥ～～♪