ところが夜遅くに「きんこ～ん」とリンビングにチャイムが鳴り響き、「ただいまあ～」って明るい声が聞こえた。
「あっ！宇実お姉ちゃんだっ！」
ままの顔は突然晴れやかになった。
「宇実、おかえりなさ～い」
本当はお姉ちゃんは今日からお姉ちゃんの夫と一緒にサンフランシスコに行く予定だった。
だから、日本語学校のお仕事も2週間お休みするために、ローテーションを既に組んでいたんだ。
サンフランシスコ行きは、キャンセルをせざるを得なくなったけれど、お休みを取っていたことは
逆にとてもラッキーだったわけで、パパの看病ができるということに転じ、その成り行きには有難く
感謝の気持ちでいっぱいだった。
お姉ちゃんの夫はお仕事だから一人でサンフランシスコに発った。
一人で行かせてごめんね、お兄ちゃん、お姉ちゃん、来てくれてありがとう～♪
パパが喜ぶね。ままが喜ぶね。僕も喜んだ。
良かったな。本当に良かったな。
平成19年12月8日の土曜日。
やっと土曜日になったよ。
僕は夜のお散歩はいいよって強がり言ったけれど。本音はやっぱりお散歩に
連れて行ってもらいたかった。
ちょっとカッコつけ過ぎだった。
だってね、ままが帰ってくるまでは、なんだか一人でお庭に出るのはいやだったんだ。
あのどらねこ(=^・^=)ちゃんにいつ出あうとも限らないからね。
僕苦手なんだよね、あのねこ(=^・^=)。
この絵みたいに可愛いといいんんだけどね、でもままに言わせるととてもどらねこ(=^・^=)には
見えないそうだけどね。
なんだか品があるんだって・・・
でもね、いくらそうだとしても僕は嫌いなんだよ。
というか怖いんだよね・・・
だから、ままが「ただいまあー」って帰ってくるまではおちっこも我慢しているんだ。
今日はお天気も良かったし、本当に良かったよ。
やまびこ公園は落ち葉でいっぱいだった。
まるで、黄色い絨毯を敷き詰めたようだった。
久しぶりのお散歩は気持ちが良かった。
ままは僕のお散歩を済ませてから、パパの面会に行くそうだ。
手術の日は昨日決まった。
予定通り13日に決まったようだ。
毎週金曜日に審査会議が開かれ、どうするかが審査される。
手術に耐えられる身体でないと、ダメだ。
でないと合併症が出る確率が高くなるからね。
パパ良かったね、早くに悪者をやっけることができるんだね。
ままは今週なんだかとても落ち込んでいたから、大丈夫なのかなあって、僕はすごく
心配していたんだよ。
先生の説明があって、相当リスクの高い手術になるって言われたって、しょぼんとしていたからね。
だって、ままが宇実お姉ちゃんに電話をしているのを僕は聞いてしまったんだ。
親戚の人たちにも電話をしていたし・・・
しかも涙声だったからね、本当に僕は心配だった。
そして、電話をした後に僕のことをキューンと抱きしめて・・・
僕の背中にぽたぽたとなんだかお水みたいにしずくが落ちてきて・・・
そうなんだよ・・・ままは涙をいっぱい流してエンエンとまるで子供みたいに泣いていたんだ。
いつものままじゃないよー
どうしたの、まま？
そして、いよいよ僕のお気に入りになった、この写真だよ。
大きなトランクの中には分厚い本が立てかけてあった。
そして、僕はその中に入るように言われた。
あーっ、ままが大好きなご本があるよー
でも、これってちょっと小さくない？厚みもあるし、。。僕は入れるかなあ？
ひょいっ！大丈夫だった、良かったあ～♪
次に、トランクに手をかけるように言われた。
そーっとかけてみた。
なるほどねえー・・・うん？そばにきれいなお花も置かれたよ。
「あらっ！ハッピちゃん、可愛い～♪ ハッピーポッターだあー！♪」
見ていた皆が口を揃えて言っているのが僕の耳に入ってきた。
うん？僕って今注目されてるの？
