平成19年1月27日の土曜日。
今日は朝から気温が高くて、とても暖かかった。
お散歩には最高だ。
でもね、今は冬なのに一向に寒くならなくて、なんだかつまらない。
やはり、冬は冬らしくないとなあー・・・
まだ、今年は雪が一度も降っていないしね。
このまま春になっちゃうのかなあ？
まま、今日はどっちの方向に行くの？
僕は分かれ道にさしかかると、ままの動きに敏感になる。
大抵は当たるよ。
うん？今日はふるさと公園の方向なんだね。
でも、移るにもこの近辺では地価が高くて、広いお家なんて、
とても買えない。
ところが、少し田舎の方に目を向けると土地が５０坪もあって、
お家だって、４LDKのひろーいお家があるんだよね。
そうして迷っていた時に、お隣のお家のピーナッツ屋さんが、
息子さんの為にお家を探しているんだというお話が舞い込み、
渡りに船、とんとん拍子に話がまとまったのだった。
ままは緑の多い田舎が大好きだからね。
そこには、平成１２年５月まで住んでいたからね、やしのみ家では、
一番長く住んだ所だ。
パパもその頃独立して、自分の会社を作った。
会社も社員を増やし、順調だった。
宇実お姉ちゃんは大学から大学院と進み、二番目のお姉ちゃんも
短大を卒業し、その後はままと同じ経理の仕事をしたいと、東京まで
専門学校に通っていた。
その頃は、まだパパは独立していなくて、サラリーマンだったからね、
こつこつ貯めていた貯金をぜーんぶはたいて、自己資金にして、
中古ではあるけれど、待望の自分のお家を持てたんだ。
お姉ちゃん達はそれはもう大喜び。
今でも、あのお家って、良かったよねえ～♪って、懐かしむことが
多い。
まだ小さかったからね、余程建物が大きく感じられたんだろうね。
その頃はバブル真っ最中。
大したお家ではなかったけれど、地価が上がっていたからね、
これは売り時だと、ままは判断し、次には新しいから今よりは狭く
なるけれど、新築の駅から徒歩で８分に位置する湘南海岸に
近い場所へと買い替えた。
宇実お姉ちゃんが小学校４年生の時だ。
でもね、新しいけれど、前のお家の広さに比べると、狭くてね、
３ＤＫだったからね。
だから、宇実お姉ちゃんが本格的にお勉強を始めた小学校の
６年生の時に、独立した個室の勉強部屋をと、もっと広いお家を
探し始めたんだ。
つい1年前までは、ふるさと公園の手前にタイヤ公園があった
のに、今ではお家が建ち並んでいる。
随分お家が建ったね。
おや、ここにもいつの間にか建っている。
売り出し中の旗がなびいていた。
三階建てなのかな？
そうかあー こちらから見るとそう見えるけど、実は地下１階が
ある、二階建てだった。
地形の関係でそう見えるんだね。
よく奥日光の山の方のホテルなどで、そういうのをよく見かけるよね。
ままは、興味津々にそのお家を眺めていた。
そうすると、いきなり人が現れ「どうぞ、中をご自由に覧に
なってくださ～い♪」とにこやかにままに話すではないか。
でもね、そんな幸せな日々も長くは続かなかった。
二番目のお姉ちゃんは、突然平成７年５月１６日に、天国に
召されしまったのだ・・・
悲しい日々が続いた。
お姉ちゃんのお部屋をそのままいつまでもとっておきたいと
いう思いと、もう辛くて、見ていられないという気持ちがいつも
交錯していた。
ところが、パパとままはもう耐えられない！
思い出がたくさん詰まっているそのお部屋を、お家を、もう、
見ていられないという限界まできてしまったのだ。
それだけではなく、ままのお仕事の関係もあったけれどね。
八丁堀まで通うのが辛くなっていたんだ。
加えて年末調整での住宅控除もかなりよくなったこともあったしね。
そういうわけで、今のお家に引っ越したのだった。
もう、今年の５月で満６年になる。
ままが引越し魔だってことが分ったでしょう？
その都度、気軽にお買い物をするかの如く買ってしまうんだよね。
大したお金もないのに、ケセラセラーなんだってさ。
ほとんど、お家のことに関してはパパはノータッチだからね。
ままが全て決めているんだ。
ままは、ついに勧められるままその旗がなびいている、お家の中に
入って行った。
うーん・・・ままは悩んでいる。
ままが一番魅力を覚えたのは、地下１階のバルコニーの広さだった。
ここだと、僕を思いっきり遊ばせることができる！
そう思ったらしい。
パパに帰ってから早速話していた。
パパ「すごいなっ！ワンコの為に家を買い替えるの？」
まま「そうじゃなくってー」
パパ「だってそうだろう？」
まま「・・・・・」
僕「・・・・・」
パパの独り言「他の新しい物件を見てみれば、きっとそれも
欲しくなるに決まっているよ（かなり皮肉っぽい）」
ままの独り言「さあ～て、どうなることやらね。
人生いろいろ・・・
何が良くて何が悪いかなんてわかりゃあしないしね。
しかし、もう歳だしねえー・・・
うーん、今更アクセクしても始まらないかあ？
でもでも、歳を取ったっていつでも夢は持ちたいのよね。」
僕の独り言「まま、ありがとう♪だって、バルコニーがあんなに
広ければそりゃもう、僕は嬉しいに決まっているよ。
でもね、その気持ちだけで、いいよ。
だって、パパとままはもう老後のことを考えなくてはいけない年頃
なんでしょう？
だから、僕は我慢するよ。
だけど、一つだけお願いがあるんだぁー
お散歩にたくさん連れてってね。指きりげんまんだよ～♪」
そして、いよいよ僕のお気に入りになった、この写真だよ。
大きなトランクの中には分厚い本が立てかけてあった。
そして、僕はその中に入るように言われた。
あーっ、ままが大好きなご本があるよー
でも、これってちょっと小さくない？厚みもあるし、。。僕は入れるかなあ？
ひょいっ！大丈夫だった、良かったあ～♪
次に、トランクに手をかけるように言われた。
そーっとかけてみた。
なるほどねえー・・・うん？そばにきれいなお花も置かれたよ。
「あらっ！ハッピちゃん、可愛い～♪ ハッピーポッターだあー！♪」
見ていた皆が口を揃えて言っているのが僕の耳に入ってきた。
うん？僕って今注目されてるの？
やしのみ家は実は引越し魔だ。
というより、ままがそうなんだけどね。
引越し貧乏ってよく言われるでしょう。
正に、やしのみ家はその口だと僕は思うよ。
だってね、宇実お姉ちゃんが生れたのは結婚してから２年目
なんだけれど、その時には借家で、２Kの狭いお家だった。
だから、お姉ちゃんがよちよち歩きの１歳２・３ヶ月頃には、
もうお引越しだ。
借家だけれど、今度は２DKで、お庭も広いお家だ。
二番目のお姉ちゃんはそこで生れた。
でもね、宇実お姉ちゃんが小学校に入った年には、机を置いたり、
本棚を置いたりしていると、途端にお部屋が狭く感じられ、
今度は７年経過の中古ではあるけれど、一応持ち家の５DKの
お家を買った。
