僕はいい子か悪い子か？

世の中には悪い人がたくさんいるんだね。
そういえば、年金問題のあのこと、そう、領収書がない時の対処の仕方、そうあれも、判断の指針として、
性善説なんていう言葉が出てきたよね。
性善説とは孟子の性説で、人間の本性は善であると人間を観るあれだよ。
この説に対して対立したのが、荀子の性悪説だ。
いったいどちらが本当なの？
だからね、人間ってどちらも併せ持っているのよ、そうして決めつけてはいけないと思うわよ
ままは言う。
うーん　うーん、一体何が本当で何が嘘なのか、何が正しくて何が間違いなのか？
僕には全然わからないよー
とにかくさあー　嘘は絶対言ってはいけないよね。
僕はそう思うけどなあ～

そうかあー　まあいいけどさ。
そうそう、ままがまだ新婚当初の頃、花売りにきたおばあちゃんから、紫陽花を買った話を以前にしていたでしょう。
あれも変なお話だったよねえ。
おばあちゃんなんだからっていう理由だけで、その人を信用してしまう。
こんなに年を取ったおばあちゃんが一軒一軒訪ね歩いてお花を売って歩いて、なんて大変なことなのでしょうと、
ままはすぐ差し出されたその鉢植えの紫陽花を買ってしまった。
その結果・・・なんと何日も経たない内に、そのきれいに咲いていた紫陽花は無残に萎れてきたのだった。
遅かりし・・・なんとも、その紫陽花には根が生えていなかったというお話さ。
ねっ、ひどいお話だよね。
その時は本当に身にしみて、人を見かけで判断してはいけないって、ままは思ったのだった。
でもね、のど元過ぎればで、今でも時々そういう苦い経験を忘れて失敗をしたりする。
これは、たぶん性格なんだね。
ころっと騙され易いタイプなのかもしれない。
だからって、このところ頻繁に騒がれている「振り込め詐欺」にはご用心だよ。
まあでも振り込むにも大金なんてやしのみ家にはないから、安心かあー（笑）

鼻が時々むずがゆくて、僕はついつい舌をぺろりとしてしまう。
草の中にもどうしても入り込もうとする。
習慣というものはなかなか直らないものだね。

鼻の周りが気になるのに、こうして、僕は悪いことをついついしてしまう。
そのたびにままは僕に注意をし、そのたびに僕は「あっ！いけないっ」！て、正すけれど、
明日はどうなるかわからない。
ままは時々僕のことを「やしのみ家の王子様」って、呼ぶ。
面白がってそう呼ぶのさ。
でもね、僕は本当は王子様って呼ばれる資格なんてないのかも。
僕って、そんなにいい子じゃないのかも？
僕は性悪説の部類なのかっ！
「ハッピーはいい子でしょう？」
ままの声がこだまする。

平成19年7月1日の日曜日。
お散歩が短くなってから何日が経っただろう。
もう、僕は承知で、ある所まで行くと自分から道をターンする。
「まわれ～右～」
ままに言われなくとも、ここでターンしないと遠くまでお散歩に行くことになるからね。
あれっ！あそこであの人何をしているんだろう？
僕の行く先にはカメラを片手に何かを追いかけているようなしぐさをし、パチパチカシャカシャと音をたてて
連写している音がする。
25.6歳くらいのお兄ちゃんだ。

人の気持ちというのは難しいんだね。
こんな場合怒る人だって、きっといるに違いなにのに、こうして、ままは気軽に声をかけてしまう。
蝶々を愛する人に悪人はいないわよって思っているのだろうか。

話は少し違うけれど、花泥棒っているでしょう。
じゃあ、花を愛する人には悪人はいないってことなの？
僕はわからなくなってきた。
わからなくていいのよ、ハッピー
ままは言う。
一概にこうだと決めつけて、人を判断してはいけないってことなのよ
ままは言う。

ふと見ると、そこにはひらひらと優雅に舞っているアゲハ蝶がいた。
その青年は必死になって蝶を追いかけている。
といっても、その蝶々は分かっているかのように、あたかもその青年と戯れているような雰囲気だ。
「こんにちはあ～♪」ままは声をついかけてしまった。
その青年は蝶に向けているカメラを下し、ままの方を見た。
「なんで邪魔をするの？」と怖い顔でにらまれるかと思った僕はびくびくものだった。
でもね、その青年はとても優しい顔を向けて、「いやあー　なかなかうまくゆかなくてー　この辺りは
僕が小さい頃にはたくさんアゲハ蝶がやってきていたんですよ。
今は少なくなっちゃってー」と一言いうと、またカメラを蝶々に向けてパチパチしていた。
ままは、その姿をじーっと見ながら「そうかあー　やはり自然がいっぱいだと思っていたこの辺りでも、
そういう現象が起きているのかあー」と悲しくなってきた。

そして、いよいよ僕のお気に入りになった、この写真だよ。
大きなトランクの中には分厚い本が立てかけてあった。
そして、僕はその中に入るように言われた。
あーっ、ままが大好きなご本があるよー
でも、これってちょっと小さくない？厚みもあるし、。。僕は入れるかなあ？
ひょいっ！大丈夫だった、良かったあ～♪
次に、トランクに手をかけるように言われた。
そーっとかけてみた。
なるほどねえー・・・うん？そばにきれいなお花も置かれたよ。
「あらっ！ハッピちゃん、可愛い～♪　ハッピーポッターだあー！♪」
見ていた皆が口を揃えて言っているのが僕の耳に入ってきた。
うん？僕って今注目されてるの？

その内、「わたしも撮っていいかしら？」という始末。
もちろんその青年はまたもやにこやかに「どうぞどうぞー」とカメラを向けるまま見つめていた。
そうして、撮った写真がトップの写真だよ。
なんだかうまく撮れなかったけれど、一応静止状態を撮ることができたようだ。
羽をきれいに広げているところを撮りたかったけれど、これじゃあ、なんだかわからないよね～（笑）
「ありがとうございましたあ～♪」
ままは、やはりマイペースあんだなあー
優しい人で良かったね。