鳴りを潜めているもの

お姉ちゃんのお話はたくさんままから聞いているよ。
お姉ちゃんはお料理がとっても上手だったんでしょう～♪
そして、味蕾とかいう機能もとても優れていて、例えば色んな素材を混ぜて作ったあるお料理の中身を
すぐに当てていたんだってね。
ホタテとカニを例えば混ぜていたりすると、ほたての香りが強くて、他に何の材料が入っているかなんて、
皆なんだろう？って首をかしげているのに、二番目のお姉ちゃんだけはいつも正解だったそうだね。
他にも良いところがいっぱいあったそうだね。
背が高くてスタイルもよくて、誰に似たのか突然変異か、顔も皆の好みの顔をしていたしね。
まるでモデルさんみたいだねって、お友達からよく言われていたそうだね。
そんなに素敵なお姉ちゃんだったのに、何故？
神様はずるいよね。
ごめんなさい！お姉ちゃん、変なことを言ってしまったよ。
今夜零時近くまではいるんだよね。
パパとままは送り火を焚くのがきっと辛いに違いない。
でもね、これも現実だからね。
今を見極めることが大事なんだよね。
お姉ちゃんが悲しむからもうこのくらいにしとくよ。
お姉ちゃん、また天国から遊びにきてね。
今度はもっと楽しいお話を用意しておくね。

椎間板ヘルニアを患っていると、あまり遠くにお散歩も行けない・・・
二度目にすごく痛くなる前までは無視して、というより、してはいけないこととは気付かずに、遠くまでお散歩していたけど、
お散歩時間も極力短く、そして、坂道はダメ、階段はダメ・・・
背骨に負担をかけないように、平坦な道を歩くようにと先生に強く注意されてからというもの、いくら僕が平気な顔をしていても、
それは自分ではわからないことなんだから、飼い主が注意をしなければいけないのだからと、パパとままは自分に
言い聞かせて、守るようにしている。
僕が一見、元気そうにしていると、パパとままは病気だっていうことを忘れてしまいそうになる。
でも、そうだからって、僕がつまらない顔をしていると、もっとパパ達は心配するからね。
僕はいつもにこにこしているんだぁー。

平成19年8月15日の水曜日。

まま、お盆休みも今日までだね。
なんだかあっという間のお休みだったけれど、僕楽しかったよ～♪
いつも変わらずのお散歩とはいえ、僕にとっては一番の楽しみだからね。
ままが8時に起きて、朝食を食べて、それから食休みを取って、しばらくしたら、僕とのお散歩。
お休みっていつもこういうパターンだよね。
皮膚病になってからというもの、オフ会にも参加できず、変化のないお休みではあるけれど、こうして、
パパだけじゃなくて、ままともいつも一緒にいる時間が長くて、僕は大抵は日中は寝てばかりだけれど、それでも、
ままがそばにいると思うだけで、なんだか嬉しくなっちゃうんだ。

多分、この日記を見て下さっている方は、なーんだ、またいつものパターンの写真かあーって、きっとつまらないんだろうな。
どうぞ、勘弁してね。

そうだよ。二番目のお姉ちゃんなんて、やしのみ家では一番元気だったんだもの。
風邪ひとつ引いたことがなくて、かかったとしても、すぐに治るほど、ぴんぴんしていたというのにね。
あるひ突然天国に召されてしまって・・・
神様って本当にいるの？って、パパとままは悲嘆に暮れた毎日だった。

お盆はお姉ちゃんが帰っているから、なんだかこんなお話になってしまったけれど・・・
ねえ、お姉ちゃん、こんなお話はいやだよね。
せっかく帰ってきているというのに、もっと楽しいお話の方がいいよね。
ごめんなさい・・・

そして、いよいよ僕のお気に入りになった、この写真だよ。
大きなトランクの中には分厚い本が立てかけてあった。
そして、僕はその中に入るように言われた。
あーっ、ままが大好きなご本があるよー
でも、これってちょっと小さくない？厚みもあるし、。。僕は入れるかなあ？
ひょいっ！大丈夫だった、良かったあ～♪
次に、トランクに手をかけるように言われた。
そーっとかけてみた。
なるほどねえー・・・うん？そばにきれいなお花も置かれたよ。
「あらっ！ハッピちゃん、可愛い～♪　ハッピーポッターだあー！♪」
見ていた皆が口を揃えて言っているのが僕の耳に入ってきた。
うん？僕って今注目されてるの？

でもねえー、やってはいけないことをしたくなるのが世の常？
僕はついつい走ってしまう。
だって、お散歩が大好きなんだものー
ちょっとだけ、ちょっとだけーって、思いながら走っている。
お調子に乗ってたくさん走ると「ハッピー、ストーップ！」って、ままの大きな声が僕の耳をつんざく。
「オットー！いけなかったよー」　
僕もあわてて忘れていた「自分」というものを、ままの大声でハッとし、そうかあーって思い出す。
僕は病身だったっていうことをね。

見た目にはわからないけれど、実は病気を持っている人って、大勢いるよね。
いわゆる持病なんていうのがその例としてあげられる。
頭痛持ち、慢性胃炎、関節炎、高血圧、その反対の低血圧、心臓病等々・・・

年に一度の健康診断でしか発見できない驚きの検査結果・・・
コレステロールや尿酸値、血糖値、クレアチンなんて数値は目に見えないしねえ。
数値を見てびっくりしてしまうんだよね。

大抵は、普段は鳴りを潜めているけれど、潜在体質として持っているものは怖いものがある。
僕だってまさか椎間板ヘルニアだったなんて、思いもよらず、単にちょっと今、背骨がおかしいんだな
って、最初は軽く考えていたからね。
皮膚病だってそうさ、先生にもう少しの辛抱ですって言われてずーっと今まで我慢していたけれど、
それから一向に治る気配がないんだもの・・・
今度の診察は明後日だから、もっと詳しく先生に聞かなくてはねってパパ達は話していた。

パパもままももういいかげん年だからね、実はこんな病気を持っていたなんてことが、これから増えてくるんだろうな。
そんなことを考えているとなんだか僕は少し、悲しくなってきた。